ゆめをたべてく

いろんな好きを掛け持ちする飽き性 ★夜空から記事移行中

映画『blank13』

3/18 鑑賞

以下ネタバレ含みます。思ったことつらつら。

あらすじはいろんなところに掲載されているので、本当に感想だけ。

 

高橋一生の「何考えてる表情なんだ?」っていう、“こちらに考えさせる”または“こちらの受け取りたいように読み取ってええよ”というなんとも言えない表情が多数。高橋一生節とでもいうのか、なんというか、それが活かされまくっていた。高橋一生が演じたことに多大な意味のある映画だなと思った。

 

・自分と子供を残して蒸発し、見舞いに行くこともしなかった夫の死。妻は、喪服を身に纏い、きちんと帯をしめ、高校球児の姿を少し隣が空いたベンチで眺める。もしかしたら他にも回った場所があったのかもしれない。やがて家に帰り、夫の吸っていた煙草をふかす。空に上る煙。「火葬とは」で始まる物語、あの喫煙は妻なりの「火葬」だと思った。球児たちを眺める姿は、共に過ごしていたかもしれない架空の過去の振り返りだったのかもしれない。お葬式には行かなかった彼女なりの弔い、彼女なりの見送り。こんなお別れもあっていい。

・離婚届と結婚指輪を、死ぬ直前まで届けられなかった夫。離れて暮らしていても、連絡をとっていなくても、彼は「家族の一員」として生きてきた。少なくとも彼はそのつもりだったのかな、と。その関係性を、死ぬ前に清算しようとしたのは、私には「優しさ」に思えた。でも、そんな優しさよりも、そばにいてほしかったような気がするけども。

 

・「あとで読むよ」と言った作文。コウジの中では、落書きされた、ぞんざいに扱われた思い出だった。それを父はきちんとあとで読み、覚えていた。小学生が高校生になる、その年月の間ずっと。「予選見てた」、離れている間にも、ほんの少しの時間でも、「父親」だった。それをコウジが知ることが出来たのは、久々の再会でありながら別れを目前にした戸惑いの最中、そして亡くなったあと。「父が○○な人間でよかったです」という挨拶に集約される、父親への思い、その存在の位置付け。少しでも、「好き」だと、良い印象で、良い思い出で、明るい感情が残ってよかった。

 

・死んでから本当はどんな人だったかなんて知っても、それがどれだけ素敵な人となりだったとしても、死んだ人は戻ってこない。お葬式は、生き残った人のための儀式で、お互いの思い出を共有して、それぞれの中のその人を増やす儀式なんだなと思った。

 

・涙を流したのか、結局流せなかったのかはわからないけれど、一人外で父の死を噛み締めるヨシユキの横を通り過ぎる「泣き屋」。父の葬儀にそれを頼む息子。人が大勢集まり、隣にも音が聞こえてくる程に盛大な式。でもその何人が本当にその死を悼んでいたのか。息子は泣き屋を頼むほど、父の死に見栄を張りたかったのか、そうせざるを得ない立場なのか。「人望」にも「家族」にも、いろいろある。

 

・借金取りが律儀に手を合わせに来たの、その時のその真面目な表情が印象的。他人のために借金しちゃうような奴だってことを、気付いてたのかもしれない。部屋には上がらない、借金取りらしい手の合わせ方。なんかよかったな。

 

佐藤二朗が出てきた時点でもう面白い。工さんこれ笑ってるっしょ!?と思うシーンたびたびあった。佐藤二朗さんはすごい。

松岡茉優さん、お葬式のシーンの顔色の悪さはもしかして妊娠中のつわり時期の設定!?だとしたら細かい〜!凝ってる〜!!と感動。やがて父になるコウジが、自分の父親を少し好きになれてよかったなとも思うお話でした。

・リリーさんの“蒸発してお人好しで「予選見てた」なんて言っちゃう優しさでもなんでもない優しさ持ってて格好よくなんてなくてでも心底は憎めない”っていうキャラクターの上手さ。似合いすぎてすごい。いそう、こういう人いそう(実話を元にしてるので実際いたんだろうけど)。すごいな〜〜〜全てにおいて役者さんの選択とその実現に乾杯。

・幼少期コウジ役の大西利空くんとっても可愛かった。ぶかぶかのTシャツ。そのTシャツのグレーがたくさん濃いグレーになる程に、自転車をこいで雀荘を回って、作文を読んでほしかったコウジ。お父さんのことが好きだったコウジ…!切な可愛かった…。

・「帰ってくるかもしれない」と壁相手に続けていたキャッチボールの思い出を母親が自分が相手をすることでその思いに静かに蓋をしていくのが切なかった。母親は「もう帰ってこない」と悟っていたのかもしれないし、今生きるために前を向かざるを得なかっただけなのかもしれないけど、父親の不在を徐々に受け入れていく家族のシーンはずっと切なかったな。夜の仕事を始める母親も、お弁当を作る兄も。

 

・冒頭や、ところどころで流れる、「コツコツ」なのか「トントン」なのか表現できないけれど、メトロノームのようにただひたすらリズムを刻む音。鼓動のような速度だなと思っていて、いつかそれが止まる命のカウントダウンのようであり、今という時を刻む音のようであり、不思議な音だった。金子さんその辺詳しく聞かせてください。

 

・ラストに流れる『家族の風景』あれはずるい。ここで家族の風景はずるい。

・‪「キッチンにはハイライトとウイスキーグラス」、これ、どちらも大人の持ち物だなぁと。それを“家族の風景”と思って見ていた子供の目線を考えたくなる。そして大人になってから感じる“家族の風景”はまた別なのかな。家族は夫婦から始まるんだもんなぁ、とふと思った。この歌詞はコウジの曲だと思って聴いてる。

 

・死んでしまったらその人の人生はそこで終わり。だけど、よく言う「心の中に生き続ける」その人生は、死んだところでは終わらないんだなぁと。思い出も過去も更新される。人は一面だけじゃないし、属してるのは一カ所だけでもない。そんなことを改めて思った。

 

 

そして上記の「映画観る脳」と同時に回転していた「ミーハー脳」で思ったこと(笑)

・タクミのビジュアルが超絶いい、長髪ヒゲ眼鏡似合いすぎ…超絶いい……

・笑いそうになってる(前述)ときの口元、というか唇の形が絵に描いたような綺麗な「唇の形」だなと思った……厚さ、口角の上がり具合、見事。

・「高橋一生の血管厨にはたまらんやろな…」と思う手元のあるシーンがたびたびあった。その度「血管……」と思った。ちなみに手の感じで言えばリリーさんもなかなか良かった。

・デートシーンの適当男っぽい高橋一生推せる。これいずれリリーさんになるな、と思うような親子感。なんとなく。

・タクミのビジュアルが…いい…(2回目)

福士誠治さんがスッと出てくるのうっかりしてたら見逃す。福士誠治さん好きなんだけど好きなドラマでいつもカメオ的ちょい役!!もっと出てほしい!!!!(逸脱)

ミラクルひかるはどこに出ててん…!

・全カットされた永野と高橋一生の共演シーン観たかった………

 

・個人的には、自分の親や大切な人が亡くなった時に観たい映画だなと思った。なので是非ともDVDやBlu-rayにしてほしい。レンタル限定とかでもいい。図書館に常備とかでもいい。人生の節目に観たい。

 

 

以上、感想でした。

またいろんなものの感想を上げていきたいですね。